​学会長挨拶

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広島市立北部医療センター
安佐市民病院

​若林 昌司

 近年、「人生100年時代」という言葉を目にしたり、耳にしたりする機会が多くあります。

「人生100年時代」とは、世界的にベストセラーとなった「LIFE SHIFT」の著者であるリンダグラットン氏が提唱した言葉です。その中で「2007年に日本で生まれた子供は、107歳まで生きる確率が50%ある」という研究が紹介され、100年間生きることを前提とした人生設計の必要性が述べられています。

 日本は、今後も平均寿命の延伸が予測されています。気が付けば団塊の世代約800万人が75歳以上となり、4人に1人が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題は目前であり、その先に2040年問題という言葉も聞かれるようになりました。超高齢化は日本だけでなく世界規模で進んでおり個人レベルから国家レベルで取り組む社会問題でもあります。我々理学療法士の視点で捉えた場合においても、長寿化の恩恵よりも超高齢化に伴う諸問題への対応が非常に重要な課題です。この超高齢化社会の流れの中で、急性期、回復期、生活維持期など、あらゆる場面において理学療法士の役割は、益々その重要性を増しています。また2025年問題への対策としての地域包括ケアシステムの推進においては、高齢者を対象とした転倒予防や介護予防等への業務範囲の拡大など、我々理学療法士には従来とは違う分野への対応も求められています。このように超高齢者や障害者を対象に理学療法を実施する場合において、理学療法士の臨床力が重要であることは言うに及びません。

 超高齢化社会の流れの中、本学会のテーマを「人生100年時代の臨床力」と致しました。理学療法士の臨床力とは「知識・技術を基礎として、多くの要素から構成される総合力」であると考えます。特別講演では、広島市立リハビリテーション病院のリハビリテーション専門医である杉原勝宣先生に「医療現場における理学療法士の地位向上のため、私が思う必要なこと」と題し、理学療法士の臨床力についてのご提言とご助言を頂きます。また「理学療法士の臨床力」について、学会基調講演と急性期・回復期・生活維持期の各ステージにおいて第一線でご活躍の理学療法士の先生方よるセミナー形式のご講演を3題予定しています。さらに「女性支援に関するセミナー」と「臨床教育に関するセミナー」も企画しております。

 理学療法士が誕生して50余年がすぎ、広島県理学療法士会も昨年50周年を迎えました。毎年、1万人以上の新人理学療法士が誕生し、今後、理学療法士の需要は飽和状態になることが予測されています。人生100年時代に向けて社会に貢献し、求められる理学療法士であり続けるためには、「理学療法士の臨床力」の向上は必要不可欠です。本学会が、「人生100年時代の臨床力」についての理解を深め、会員の皆さまの臨床力向上の一助になれば幸いです。

 なお本学会の担当は広島北支部です。広島共立病院の新居拓也学会準備委員長を中心に全力を挙げて準備しています。令和4年4月現在、コロナ禍は未だに終息しておらず、昨今の状況を鑑み、安全に万全を期すということで、学会の形式はWeb形式と致しました。

 令和4年度は、「新生涯学習制度」の初年度でもあります。広島北支部準備委員一同、皆さまの積極的なご発表と多くのご参加を期待しております。